■ 密閉栽培
衣装ケースや水槽を利用し,湿度100%の環境を作って栽培する方法です。
シュスランやネッタイランの仲間など,湿度を好む野生ランに適しています。
ナメクジからの隔離や瓶出し苗の順化,小苗の養生栽培等にも有効です。
ただ,湿度と引き換えに通風が失われるため,腐りやすい植物には向きません。
有機肥料や腐葉土・ダンボールなど,カビに侵されやすい素材の利用も控えたほうが良いでしょう。
水分が殆ど失われないため,水やりは月に1〜2回ほどで済みます。
葉に掛かった水も乾きにくいため,水やりの際は直接植物に当たらないようにします。
また,週に2晩くらいは蓋を開け,外気に当ててやったほうが良くできることが多いです。
湿度が常に100%で,葉から全く蒸散出来ない状況に置かれると,生理障害が起きることもあります。
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■ ダンボール栽培
ダンボールを植え込み素材として利用する栽培法です。
"ダンボールが微生物に分解される際に生じる有機酸が植物の生育にプラスに働く" という意見や "ランの共生菌のエサとしての役割を果たす" という説など,様々な方向から効果があると推測されています。
大方の場合,目に見えるほどの効果は期待できませんが,種によっては劇的な効果を示す場合があります。
また,実生の発芽率を上げる働きもあることから,一応全ての用土に混ぜ込んでおく,という栽培家が多いようです。
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■ ワインセラーの利用
寒冷地性のランの中には "暑さに弱い" というただ一点によって,栽培が不可能とされている種が少なからず存在します。
そういった種はワインセラーなどの冷温器の利用することで,問題なく育成できることがしばしばあります。
光量や温度の調節,ランニングコストなどの問題がありますが,寒冷地の植物を安定して栽培するには気温を下げるしかありません。
どうしても育てたい種がある方は,是非挑戦してみてください。
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■ ビオトープの利用
ミズチドリやトキソウなど,高温が苦手な湿生植物にオススメの栽培法です。
水草の茂ったビオトープに鉢を浮かべるだけですが,それだけで鉢内の水温・水質はかなり安定します。
なおサギソウのように肥料を好む種には向きませんのでご注意下さい。
この状態で肥料を施すと,アオコや水草が爆殖し,水環境が乱れます。
また,鉢内の水を共有していますので,ウイルスの蔓延には通常以上に注意が必要です。
羅病株を発見したら,直ちに隔離若しくは処分しましょう。
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■ 二重鉢
かつて,鉢内の温度が上がらないようにするため,よく用いられた方法です。
そちらの効果の程は判りませんが,根張りの良い植物と混植する場合,写真のようにして植え込むと,次の植え替えの際に苦労しなくてすみます。
コンポストも少なく済んでお得です。
因みに,混植には "鉢内の環境が安定する" というメリットがありますが,"土中の養分を喰われる" というデメリットも存在します。
目的の植物にだけ肥料を効かせたい場合も,この方法は多少有効です。
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