ミズトンボ  Habenaria sagittifera
特徴
  茎は高さ50〜80a前後,先端に緑白色の花を総状に多数つける。 唇弁は線形で3裂し,側花弁は大きく歪む。 葉は3〜5枚,線形で長さ10〜25a前後。 地中に楕円状の球茎をつける。
分布
  北海道・本州・四国・九州
開花期
  7月〜9月
自生環境
  冷温帯〜暖温帯の日当たりの良い湿原及び湿地に生育する。
備考
  絶滅危惧II類(環境省)
現状
  かつては自生地・自生量共に多く,全国の湿地や放棄水田などによく見られた植物です。 近年の開発圧によって,急激にその個体数を減らしました。
  現在も各地である程度の個体数が確認されており,採集品・増殖品が僅かながら流通しています。

● 管理
  湿地の植物ですので,常に水を切らさないように管理します。 鉢内が水浸しなのは平気ですが,暑さで蒸れると一気に衰弱するので注意して下さい。 鉢の受け皿など小さな容器を使っての腰水栽培は危険です。 こまめに灌水するか,池やビオトープなどの容量の大きな水場に浮かべて栽培するのが無難でしょう。
  サギソウと同様に,かなり肥料を好みます。 無肥料で育てた場合,環境が良くても作落ちする場合がありますので,少なくとも年に数回は薄い液肥を施します。 置き肥は水が腐るので与えません。 また,生育初期は出来る限り日を採ります。 しかし,暖地で日を採り過ぎると,これまた蒸れや葉焼けの原因になりかねません。 真夏は多少の遮光をするか,日陰に移しての管理が必要です。
  冬季は鉢ごと,もしくは球根のみを掘りあげて,できるだけ気温変化が小さい場所で管理します。 休眠中も極端な乾燥は避け,強い凍結を受けないようにしましょう。

● 植え込み
  主に刻み水苔と砂の等量混合土を利用します。 水はけと水持ちが両立する用土ならなんでも大丈夫ですが、いずれにせよ水遣りはこまめにたっぷり行いましょう。 鉢は特に選びませんが,断熱性に富んだ大きめのものを用いると良いでしょう。
  環境がしっかり合うと,根はかなり長く伸びていきます。 15cm程の深ポットでも根が突き抜けますので,出来る限り深めの鉢を用いてください。

● 増殖
  栄養繁殖率は決して良いとは言えませんが,悪くも有りません。 球根が2aを超える大きな個体は,毎年1a程の球根を子株として作ります。 サギソウのように指数関数的な増殖はしませんが,じっくり作れば確実に殖えていく筈です。
  実生は容易で,鉢蒔き等によって子苗が容易に得られます。 苗の成長も早く,発芽から1〜2年で開花に至ることもしばしばです。 同一個体の長期維持がやや難しい植物ですので,積極的に種子更新を図りましょう。
                       
2013.4.29  4月末に出芽 2012.8.20  実生がちらほら 2012.8.17  8月上旬の開花
2012.8.20  他の草に埋もれて 2013.2.23  5年で7球が30球に増えた 2014.12.18  無菌培養のシブリング実生


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