アワチドリの品種
- Varieties of P. graminifolia var. suzukiana -


世界中で房総半島の一部にのみ自生している小輪多花の野生ラン。
ウチョウランに比べて距が細く,全体に大柄になりやすいのが特徴です。
若干分球しづらく,広くは普及していない本種ですが,隠れた銘品が数多現存しています。


純白花 / 白紫点花 / 紅一点花 / 斑紋花 / 無点花 / 濃色花 / 桃色花 / 円弁花 / その他


                                                     
純白花
豊雪」 (ほうせつ)
安房の白雪」 (あわのしらゆき)
白曳 (はくえい)
アワチドリの純白花としては最も有名な個体。
唇弁の肩が張る,整った花形を持つ。
花弁が丸く肉厚気味で,人気のある純白花。
アワチドリらしい繊細な雰囲気で,美しい。
幅のある花型の純白花。個体数は少ない。
葉も広く,全体にがっしりした印象を受ける。
静の舞」 (しずかのまい)
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露受け状に花をつける大輪円弁の純白花。
不等辺三角形のバランスが良い草姿。佳品。
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白紫点花
聴雪」 (ちょうせつ)
鈴麗」 (すずれい)
滝の白糸 (たきのしらいと)
抜群のコントラストが映える,鋸山の名花。
白紫点花の最高峰だが,紛い物も多い。
喉元に細かい点を散らす白紫点花。
野生のアワチドリらしい花型。
細かい斑紋が二列に並ぶ白紫点花。
こちらも丸っこく愛らしい花型。
司の華」 (つかさのはな)
光悦」 (こうえつ)
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古くに登録された大型の白紫点花。
派手な大輪。名鑑の写真とはやや異なるが……?
咲き分けの白紫点花。
非常に優れた花だが,健全株が少ない。
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紅一点花
天晃」 (てんこう)
紫天王」 (してんのう)
紫宝殿 (しほうでん)
円弁の紅一点花。
やや小輪で花数も多く,とても愛らしい。
アワチドリの紅一点に多いタイプの花型。
山の紅一点は高宕山にて発見されたものが多い。
唇弁下部まで紫を染める紅一点花。
花型は「紫天王」や「寿光」に似る。
写楽」 (しゃらく)
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紅一点花の最高峰。地元でも人気が高い。
墨汁を垂らしたような紫点と,漆黒の軸が特徴。
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斑紋花
恋娘」 (こいむすめ)
初恋」 (はつこい)
紫水玉 (しすいぎょく)
唇弁中央に細かな斑紋が集まる。豊英産。
他にない独特の魅力がある美花。人気も高い。
「恋娘」と同坪にて発見された。
斑紋の様子も似るが,より淡い雰囲気の花容。
よく知られた古い銘品。
薄色の唇弁に大きな斑紋が目立つ。
矢がすり」 (やがすり)
麗花」 (れいか)
笹川しぐれ (ささがわしぐれ)
端正な花形に,切れの良い斑紋。
野生種の魅力を強く放つ美花。
唇弁喉元と側花弁が白く透ける。
ほんのりとガンコランの雰囲気を感じる。
薄紫の地に,淡く滲む色の濃い斑紋。
こちらも山木らしい魅力がある。
彗星」 (すいせい)
アワチドリ (豊英産の野生個体)
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濃色の地に,濃色の斑紋が入る。
個性は強くないが,見飽きない野生種の銘品。
君津市の豊英ダム周辺の野生個体。
「恋娘」「初恋」と同様,独特の斑紋が入る。
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無点花
桜千鳥」 (さくらちどり)
令和の元」 (れいわのもと)
清澄雨情 (きよすみうじょう)
淡い紫色の唇弁に,白い萼片が映える。
広く知られた美しい無点花。
近年の登録花だが,発見は古い。
地の色は薄く,唇弁の切れ込みが深い。
大輪よりの無点花。
唇弁は広いが,やや反って咲く。
無双」 (むそう)
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濃色の無点花。唇弁基部は白く抜ける。
花型は整っており,やや密咲き。
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濃色花
小むらさき」 (こむらさき)
紫天の元」 (してんのもと)
紅扇 (べにおうぎ)
すっきりした花形の濃色花。
野性味のある草姿に,濃い花色が映える。
古くから知られる濃色花。
アワチドリの濃色は他種とは桁違いに色が深い。
大輪の濃色花。数は少ない。
光を浴びると,濃色の唇弁がビロード状に輝く。
夕映」 (ゆうばえ)
司星」 (つかさぼし)
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円弁大輪の濃色花。
全体的にバランスの良い草姿。
小輪で可愛らしい濃色斑紋花。
アワチドリらしい魅力が良く出た銘品。
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桃色花
魅せられて」 (みせられて)
桃酔」 (とうすい)
桃里」 (ももり)
最も有名な桃色花の一つ。
唇弁がフリル状になり,愛らしい。
斑紋が良く目立つ桃色花。
唇弁は縦に長く,やや大輪。
古い桃色花。
個性は薄いが,野趣がある。
                                                     
円弁花
満月」 (まんげつ)
鳳寿」 (ほうじゅ)
月下美人 (げっかびじん)
古い濃色の円弁花。
良く知られた花だが,数は多くない。
淡い色味の円弁花。
野生種らしさを残した銘品。
濃色の円弁花。
草姿や花の並びなど,よく整った個体。
紅水晶」 (べにすいしょう)
舞子」 (まいこ)
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こちらもよく整った円弁花。
「静の舞」などと似た雰囲気の草姿。
唇弁の形に特徴のある円弁花。
全体の纏まりがよく,棚でも目立つ。
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その他
輝峰」 (きほう)
藤駒」 (ふじこま)
白紫宝 (はくしほう)
非常に古い花。
大柄で,丸みのある花型が魅力的。
多花性(密咲き)の銘品。
ヒヤシンスのように咲く。斑紋も特徴的。
有名な咲き分け花。
唇弁の一部に白斑が入る。
花絵巻 (はなえまき)
馬来田錦 (まくたにしき)
月姫 (つきひめ)
横に広がる唇弁が面白い。
まれに咲き分けることもある。
野生個体の黄覆輪。
後冴え気味。
とても有名な連舌花。
無地の唇弁に貝状の縦皴が入る。
ガンコラン (黄覆輪)
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アワチドリの自生地の,とある山のみに,
何故かポツンと生えるウチョウラン。
現存するのはこの覆輪個体のみかもしれない。
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