シュンラン属  [全種名リスト]
- Cymbidium -


シュンラン属(Cymbidium)のランは国内外に有名な個体が多い反面,あまり知られていない種も多い仲間です。
このページでは,腐生ランを除く,我が国に自生する全てのシンビジウムを紹介します。

※ シュンラン属の栽培種リストはこちら



ハルカンラン カンラン アマクサコラン ホウサイラン オオナギラン

和名 学名 分布 特徴
シュンラン Cymbidium goeringii 北海道〜屋久島 最も馴染み深い国産シンビ。里山から公園まで,今でも普通に見られる。
ホソバシュンラン
写真解説
Cymbidium goeringii
var. angustatum
四国地方 四国地方東南部に特産するシュンランの変種。基本種に比べ,葉及び花弁の幅が狭い。
鹿児島県には "タチバシュンラン" と呼ばれる,葉幅が広く立葉性の地域個体群が存在する(らしい)。
カンラン Cymbidium kanran 近畿地方以南 本州の紀伊半島から四国地方・九州地方・琉球列島にかけて多く自生する。
静岡県島田市及び伊豆半島天城山周辺が分布の北限。
中国産のものは杭州寒蘭と呼ばれ,日本のものとはまた違った趣を楽しめる。
ヘツカラン C. dayanum var. austro-japonicum 鹿児島県・沖縄県 常用樹林の樹幹に着生する大型種。花茎は下垂し,10個前後の花を付ける。
花は純白の地に太い赤条が入り,美しい。
園芸採集により自生地は壊滅状態。国内で今も自生が見られるのは大隅半島の一部のみである。
コラン
写真解説
Cymbidium koran 熊本県 晩夏から秋,斜めに立ち上がった花茎に3〜5個の花を付ける。
花弁は薄黄色地に紅紫色の条が入り,柑橘系の強い芳香を放つ。
熊本県の一部に希産し,特に天草諸島に自生するものは小型で葉が細く、
"アマクサコラン" として区別される。
九州南部に自生する,オオスミラン・タカクマランと呼ばれるものも同種と考えられている。
スルガランと同種とされることもあるが,花期や花弁の形,1花茎に付く花の数が異なるそう。
スルガラン Cymbidium ensifolium 九州地方 盛夏に淡緑色の花を5〜8個程付ける。花弁の基部には赤みが差し,先端は尖らないことが多い。
惠蘭の一種であり,中国名に”四季蘭”,別名として”雄蘭”を持つ。
国内では九州南部に自生するが,確認された個体数は少ない。
なお駿河地方では確認された記録はなく,和名の由来は不明。
かつて静岡県に自生した,カンランと混同されていたのかもしれない。
ホウサイラン Cymbidium sinense 鹿児島県・沖縄県 中国産の販売品をよく見かけるが,国産の個体は極僅か。
和名の由来は,旧暦の新年に咲くことから「新年を報じるめでたい蘭」の意。
国内では屋久島・奄美大島・沖縄本島・石垣島・西表島に僅かな個体が自生する。
それぞれ "アマミホウサイ" などと地名を付けて呼ばれ,流通している。
ツシマニオイシュンラン Cymbidium sp. 長崎県対馬 移入種なのか自生種なのか不明なラン。一茎一花の場合が多いが,稀に一茎二花。
花は三角咲きが多く,花弁は濃緑色,シュンランにはない芳香をもつ。
中央溝はシュンランに比べて深い。
チュウゴクシュンラン Cymbidium forrestii によく似ているが,葉や根の形状で区別できるとのこと。
根の形態がカンラン似ているため,以前はシュンランとカンランの交雑種として扱われていた。
ナギラン
写真解説
Cymbidium nagifolium 関東地方南部以南 花は初夏に2〜3個付き,白色。花弁に赤条,唇弁に赤い斑点がある。
アキザキナギランに比べ花茎が長く,花は葉の上に咲く。
斑入りの個体が数多く選別されており,「白馬」を筆頭に中国産のものも多く出回っている。
基本的に南方のランだが,神奈川県や千葉県,静岡県にも分布する。
オオナギラン
写真解説
Cymbidium lancifolium 徳之島

八重山諸島
アキザキナギランに似るが,草丈が30〜60a程と大型で,花の数も多い。花期が冬である点も異なる。
花弁は緑白色で,ナギランとアキザキナギランの中間的な雰囲気。
分布は南西諸島のみ。長らくアキザキナギランと同一種とされていたが,近年別種に分けられた。
アキザキナギラン
(オトメナギラン)
写真解説
Cymbidium javanicum var. aspidistrifolium 九州地方
四国地方南部
ナギランに似るが,花弁が黄緑色であり,秋に開花する。
花は葉よりも低い位置に咲き,花茎は葉柄よりも短い。
花型は整っていることが多く,葉先も上向く。
葉は全縁,全体にナギランよりもがっしりしており,花がなくても区別は可能。
(ナギノハヒメカンラン)
写真解説
Cymbidium × nomachianum 四国地方 カンランとアキザキナギランの自然交雑種。種小名は発見者の野町敦志氏の名に因む。
どちらの親に似るかは個体によるが,葉はアキザキナギランに,花は寒蘭に似る場合が多い。
(ハルカンラン)
写真解説
Cymbidium × nishiuchianum 高知県・鹿児島県 カンランとシュンランの自然交雑種。種小名は発見者の西内秀太郎氏の名に因む。
両者が混成する地域は少なくないが,ハルカンランが確認されたのは四国・九州の限られた地域のみ。


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