トキソウの個体変異
- Varieties of P. japonica -


殆ど注目されていませんが,トキソウは個体変異が大きく,集めてみると楽しい植物です。
このページでは,それぞれの産地におけるトキソウの花のバリエーションを紹介します。

※ 本種の詳しい解説はこちら



三蝶咲き
(福島県)
  2010年代に発見された,待望のトキソウ三蝶咲き。発見されてから数年間は,知る人ぞ知る……という状況でしたが,近年ようやく普及し始めたように思います。草丈は高めで、花も立派です。
  産地に関して,新潟県産といわれたり,栃木県産といわれたり諸説ありますが,実際のところは福島県の個体の様です。発見者の方曰く,植え込み資材として取り寄せた福島県の生水苔の中に紛れていたものだとか。
純白花
(青森県)
  青軸純白花。花弁が細く,いかにも国産のトキソウといった雰囲気の個体。唇弁の付け根も黄色です。
純白花
(愛媛県)
  「愛媛の青軸白花」として,古くから有名な品種。野生蘭の変異変異個体の最古参品種のひとつ。花弁に丸味があり,葉も小さく,特徴的な草姿をしている。かつては広く栽培されていたが,近年はなかなか見られなくなった。
白花
(愛媛県松山市)
  「松山の白」として,上の個体と対をなして有名な品種。白花ではあるが,唇弁には僅かに色が乗り,軸はアントシアンが乗る。
濃色花
タイプ@

(青森県)
  側花弁が濃い桃色になる個体。側萼片は薄く色が乗る程度で,コントラストが美しい。青森県の個体には優れた濃色個体が多い。
濃色花
タイプA

(青森県)
  側花弁に非常に濃い紫条が入る個体。唇弁の色も目立って濃い。上向きに咲く傾向がある。
濃色花
タイプB

(岩手県)
  側花弁に太い桃色の線が入る個体。写真で見ると濃色花というより一条線花に近いが,年によっては下地も濃い桃色になる。
更紗花
(山形県)
  側萼片に細い紫条が入る個体。唇弁は細く、いかにも高山型のトキソウといった感じ。なぜかより北方高山のものより性質が弱く、暑さや蒸れで根茎が傷みやすい。
桃色円弁花
(伊豆諸島)
  島嶼のトキソウ。色合いも美しいものが多く,全体的にミヤマトキソウのような雰囲気がある。
  離島ではヤマトキソウとトキソウの開花時期が被り,ポリネーターも限られるため,両者が交雑して独立した種になったのではないか。あるいは,氷河期などにミヤマトキソウが離島に取り残され,ハチジョウツレサギなどと同様に温暖な気候に適応した結果なのではないか。などなど,いろいろな可能性が考えられている。
白紫点花
(伊豆諸島)
  上記のトキソウの白紫点花タイプ。我が家では以上の2パターンに綺麗に分かれて咲いている。
白紫点花
(青森県)
  白地の花弁・唇弁に紫の条と斑紋が入る。自然下ではしばしばみられるが,栽培下では普通の花に戻ってしまうことが多い。
緑舌花
(長野県)
  緑舌花とわざわざいうほどの個体ではないが,他の個体に比べると,明らかに唇弁の緑が目立つ。長野県に多いタイプ。
大輪花
(愛知県)
  唇弁が大きく広がるタイプ。側萼片の幅も広く,全体にがっしりとした印象。遅咲き気味で,殖えも遅い。
大輪花
(山形県)
  側萼片が長く伸びるタイプ。


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