サギソウ  Pecteilis radiata
特徴
  茎は高さ10〜50a,地際に3〜4枚の根出葉をつける。 初夏に葉の間から花茎を伸ばし,先端部に純白の花を1〜5輪ほど咲かせる。 唇弁の側裂片が斜扇形で細かく裂け,広がった白鷺の羽の様に見えることが名前の由来。
分布
  秋田県〜鹿児島県
開花期
  7月〜9月
自生環境
  低地の明るい湿地帯。高層湿原には見られない。
備考
  準絶滅危惧(環境省)
現状
  国産のランの中では一番,と言ってよいほど愛でられ,多く育てられている種です。 強健な個体が選別され,多く流通しています。 一方で,自生地はその大多数が失われ,今では限られた地域でしか見ることが出来ません。 トキソウやサワランと異なり,本種は低地の湿原にしか生育できないため,昭和の開発の煽りを強く受けてしまったようです。
栽培

● 種の特性
  サギソウは個体によって栽培難度が大きく異なります。 大雑把に言えば,「銀河」や「飛翔」など,容易に手に入る個体ほど栽培が容易。 一方で「八月」や「緑星」など,あまり流通していない個体ほど栽培は難しいです。 要は殖えづらい,生産しづらいため出廻らないのです。 複数の品種を同じ管理で育てると,ある鉢が三倍増であるにも関わらず,他のある鉢は消滅していたりします。
  栽培が難しい個体といっても,芽がすぐに腐ったり,根が伸びなかったりする訳ではありません。 通常通り芽が出て生育し,花もキチンと咲かせるのですが,何故か球根が肥大しづらいのです。 地上部や根が健康に育っていても,鉢を開けると球根が一つもない…そんなことがよくあります。 原因は判りません。 結局,品種ごとに適した栽培をするしか対応策は無いようです。

● 管理
  当然ですが,最も重要なのは毎日水を遣ること,そして毎年植え替えること。この二点です。
  生育期に水を切らすと,サギソウの根は黒変して枯れてしまいます。 湿っているからといって水やりを怠り,鉢内が蒸れてしまっても同様です。 新鮮な水を与え続けることが何よりも大切になります。 完全にカラカラにすれば,葉も萎れ見るからに枯れた状態になるのですが,中途半端に乾かしてしまった場合がまた面倒です。 根が腐っているのに地上部は青いまま残り,秋口にいち早く黄変することで,ようやく失敗に気づきます。 こうなると大抵,まともな球根は得られません。
  また,砂植えでも何でも,植え替えは毎年必ず行うべきです。 サギソウの増殖率は通常三倍程度ですが,植え替えをしないとそれが一年で半減します。 新球も年々下へ端へと潜っていくため,植え直さないと生育トラブルが起き易くなり,見栄えも悪くなります。
  肥料は可能な限り与えましょう。 真面目に肥培すれば,5_位の球根に花を咲かせることも可能です。 サギソウの球根形成は花後からですので,草体を大きくしたい場合は春に,球根を太らせたい場合は秋に多く肥料を与えます。 ただ,気温が30℃を超える真夏や,性質の弱い個体などへの施肥は避けたほうが良いようです。 また,水苔植えの場合,肥料を与えるのは花後のみとします。
  真夏の遮光は必須です。 強光を直に浴びると,葉が灼けるだけでなく,花芽が潰れてしまうことが多々あります。 5月までは直射下で管理し,6月末から8月末までは50%程度の遮光を施しましょう。 特に黄葉の個体は葉灼けしやすいものです。

● 植え込み
  植え込み材には生水苔を強くお勧めします。 手に入らない場合は乾燥水苔でも構いませんが,稀に質の悪いものがありますので注意が必要です。 もちろん強健な個体は砂植えでも問題ありません。 肥料が効かせやすい分かえって増殖が良くなりますし,植え替えの際にも便利です。 しかし,サギソウの品種の中には「八月」など,砂植えでは何故か新球の肥大がストップしてしまうものが存在します。 水苔単用で植え込み,施肥は秋口に数回のみ,というのが最も無難な栽培法かも知れません。 なお,水苔単用で植えても,肥料を好む個体は消えてしまうことが多々あります。 水苔だからといって油断せず,花後の施肥は欠かさないようにしましょう。

● 病気
  サギソウはウイルス病に罹りやすいことでも有名です。 よく見られる症状としては,葉の一部が黒変する(左),モザイク状に変色する(右),などが挙げられます。 こういった症状が出た場合,病変した個体を抜いて捨てるか,鉢ごと処分するかして対処します。 ただ,稀に生理障害でもこのような症状が出るため,隔離して栽培し,翌年様子をみる,というのもひとつの手です。
     

● バックアップ
  管理ミスはともかく,ウイルスや突然の不作はなかなか避け難いものです。 また,個体によって環境の要求ラインが異なるため,新たに導入した品種を纏めて枯らしてしまうこともままあります。 そういった事態を避けるには,やはりバックアップをとりつつ育てるしかありません。 観賞用の大鉢のほかに,バックアップ用の小鉢を幾つか作るだけでもかなり効果的な筈です。 同一個体を長く育てるためには,なるべく纏め植えは避け,小分けして管理することが大切です。

● 品種
  サギソウの品種の詳しいリストはこちら
                                   
2015.5.16  4月〜5月,無遮光で管理 2014.6.20  6月以降は半日陰になるように 2014.7.30  花期は個体ごとにバラバラ
2014.9.29  10月頭から葉が黄変 2014.9.29  根茎は12月まで残る 2014.6.2  虚弱な品種は水苔で


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