湿地性のラン
- Bog Orchids -


明治以降,日本全土において湿地開発や河川改修が進められ,広大な湿地・湿原が埋め立てられました。
同時に失われた植物の数は膨大で,かつて普通に見られた種が今や絶滅の一途を辿っています。
普及品も多く存在しますが,そうでないものに関しては,中途半端な気持ちで手を出すべきではないでしょう。



和名(慣用名) 学名 栽培の可否 耐暑性 耐寒性 増殖率 備考
オオミズトンボ
写真解説
H. linearifolia var. linearifolia (△) 1.5 自生個体数が著しく少ない種。無菌・共生菌培養による増殖が研究されている。
ミズトンボ
栽培解説
H. sagittifera サギソウと同様に栽培できるが,暑さに若干弱く,増殖率もあまり良くない。
サギソウ
栽培解説
品種リスト
P. radiata 3 広く普及している種だが,栽培は容易とは言い難い。
個体によって育て易さに差がある。
多くの変異個体が発見されているが,絶種したものも多い。
なお,上記3種を含め,湿地の球根性地生ランは総じて肥料を好む。
環境が良くても,無肥では年々衰弱することも。
(スズキサギソウ)
写真解説
H. sagittifera X P. radiata 2 ミズトンボとサギソウの自然交雑種。秋田県で発見された。
販売品を見ることは少ないが,趣味家によって細々と増殖されている。
トキソウ
栽培解説]
個体変異の比較
P. japonica 3 サギソウと同様に増殖品が広く普及している種である。
植え込み素材と,与える水が栽培のポイント。
ヤマトキソウ
写真解説
P. minor (△) 1.5 体力が無く,凍結・蒸れで簡単に枯死する。
生産も行われておらず,栽培は控えたい。
本来草原性の野生ランだが,湿地に生じることもしばしば。
ミヤマトキソウ
写真解説
Pogonia. sp トキソウとヤマトキソウの中間的な形態を示すラン。
自生環境はヤマトキソウに似ており,高山の裸地や草原を好む。
栽培も同様に難しいことが多い。
カキラン
品種リスト
E. thunbergii 2 基本的に丈夫だが,乾燥と凍結には弱いので注意。
真夏の猛暑や冬場の強い凍結で,大株が一夜にして全滅することも。
安定して増殖させるのは意外に難しい。
イソマカキラン
写真解説
E. t. f. subconformis 唇弁が花弁化した,いわゆる六歌仙タイプのカキラン。
結実率及び発芽率が基本種に比べて高く,飛び込み実生が得られることがある。
サワラン
個体変異の比較
E. japonica 1.5 寒冷地のランに近い性質を持つが,分球率は良い。無菌培養も容易。
用土の汚れに非常に敏感。土が痛むと成長を止めるので,表土は常に清潔に保つ。
キリガミネアサヒラン
写真解説
E. japonica var. conformis 六歌仙タイプのサワラン。長野県北部の個体が僅かながら流通している。


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